こんにちは。
今日も今日とて、鉄瓶で白湯を沸かしてから朝の支度をはじめる&ENAMEL店主のアユカワです。
爪が割れやすいのは鉄分不足だと知って、少しでも鉄を摂取するとよい、というのを信じて。
アユカワがデザインする紋章は、いまのところ「愛をいだき愛情を捧げるハート」「雪空」「ウクライナの大地を象徴する刺繍」「中世の人々の病気に効くコイン」です。
ちょっとバラバラなのは否定しない。
それでですね、帯留にしているものが《何》で、《何でない》かをここに記します。
《何》であるか
先にいうと、人間の素朴な願いを叶えてくれる紋章です。具体的にいいます。
昔の人びとが衣服に縫った刺繍や、生活道具に刻印した模様です。
なので創世神話や土着の自然発生した宗教のものの方が多いです。
日本だと八百万の神がいる神道で、ただそこに存在する神もいるけど、何かしら願いを叶えてくれる神様っていますよね。恵比寿さまとか大黒さまとか。
それくらいの願いを選んでます。腰が痛いの治んないかな〜とか。金持ちになりたいな〜とか。
その点、仏さまみたいなデカすぎる救いは敬遠してます。
あともう一点、例え話ですが。
日本では「ご飯を食べてすぐ横になると牛になる」ということわざというか脅し文句があります。
これには理由がありますが、ひとつは科学的根拠があり、もうひとつはありません。
・食べてすぐ寝ると胃が活発になり朝には全て消化されているのでおなかが空いてたくさん食べてしまい、牛のように太る(科学的根拠あり)
・ご飯を食べてすぐ寝るような怠けているやつにはバチが当たる(科学的根拠なし)
現代科学では、昔からまことしやかに言われてきたことの大半に正しいか間違いかを検証できます。
けど、アユカワの家族のあいだでは、こういうことを言い合います。ごく自然に、お互いを労わりあう意味合いで。会話が増えます。冗談を言い合うくらいの軽さです。
紋章の話に戻りますが、衣服に「死なないように」っていう意味を込めた刺繍なんて全く無駄なわけです。
正確にいえば衣服に刺繍するのは布を強くして破れにくくなるというメリットはあるんですけど、昔のひとはそっちを重視したわけじゃないです。
ひたすら「愛する夫や子どもが死なないように」という願いを糸で紡いでいました。これがあまりにも切実な願いだったことは、一昔前の乳児死亡率を見ただけでわかるものです。
乳児と幼児を合わせるとだいたい10人に2人は死んでしまい、無事に大人になれるのは半数以下だったと言われています。
今は機能があまりに充実していて、機能が良くなきゃ売れない、必要ない、となりがちです。しかし1万年続いてきた人類の記憶はそう簡単に消えません。
不安なことがあったら、お守りをもつ。そこに自分が信じるもののデザインがある。デザインはみんなが素朴に信じる神や大いなる自然をかたどった模様。
着物を着るって、昔に戻ることにもつながります。同時に機能性ばっかりを追求したものではなく意味が隠れているものを再発見する、という話でもあると思ってます。
母が子の幸せを願うときに選ぶような紋様を選んでいます。
《何でない》か
先に挙げておきます。
- 芸術作品ではない
- 機能的なものではない
- アユカワが表現したものではない
- 特定の宗教色が強いものではない
- ゲームやアニメや映画で新しい解釈が加わったものではない
前述のとおり宗教的なものも作ると思います。宗教は人々の願いが集まってつくられたものだからです。
ただその中でも素朴なものを選びます。昔の偉い人が話し合って統一したものにはあまり興味がありませんし、そんな大それたものを母が子に作るという事実に馴染みがないので、選んでいません。キリスト教圏などでは、また違った考えがあるかもしれませんが。
ということなので、古今東西、古い文献を勉強してます。こんなものが好きだと、取り上げて欲しいというものがあれば、検討します。よければLINEで教えてくださいね。InstagramのDMでも、twitterでもどうぞ。