当店の帯留について:製法・使い方・お手入れ・TPO
&ENAMELの帯留をお使いいただくにあたって、基本的な事項をまとめました。
帯留は世にたくさんありますが、七宝焼でできていて、デザインが他で見たことないものだ、というのには自信があります。
それはもちろん、他にないものを作ろうと思ったからというのもありますが、帯留をただのジュエリーとしてではなく、「着物を着るひとを守り強くするもの」と位置づけて作っているからです。
普段から着物になじんでいる方も、初めて挑戦する方にも、当店の帯留の特徴を知ってもらって長く傍に置いてもらえるようにこの記事をまとめました。
七宝焼とはこんなものです
帯留の素材にはいろいろな種類があります。
- 宝石
- 珊瑚(さんご)
- 鼈甲(べっこう)
- 象牙(ぞうげ)
- 陶器
- レジン
- ガラス玉
- 水引など(糸)
- 七宝焼
一例です。もっとあります。上4つが天然のものを加工したもの、下4つが素材を焼いたりして加工したものです。
七宝焼は一般的には「金属の土台にガラス質の釉薬をのせて約800℃の高温で焼成したもの」です。
古くはツタンカーメンの黄金のマスクに使われたので、今から約3,400年前から続く技術です。
この中で七宝焼はこんな特徴があるので使いやすいです。
- 熱・濡れ・衝撃に相対的に強い
- 自然物じゃないので劣化しにくい
- 素材自体が抜け感を演出する
ひとつずつ紹介します。
熱・濡れ・衝撃に相対的に強い
帯留を迎えたらせっかくなので長く使っていただきたいと思い、扱うことにしたのが七宝焼です。
帯留金具は基本が金属なので、金属と一体となっている素材に負担がかかることも考えて何の素材のものにするかを選びましょう。
七宝焼はもともと高温で焼いているので熱に強く、ガラス質+金属なので水にも強く、ぶつかっても平気です。表面が平らな分、引っかけることも少ないです。
引っかき傷には弱いかもしれませんがそれは他も同じくらいです。
自然物じゃないので劣化しにくい
上で挙げた帯留素材の中で、特に保管に気を付けなければいけないものがあります。鼈甲(べっこう)です。これは亀(の一種)の甲羅を加工しているので、タンパク質でできている=虫食いにあいやすいものです。
保管は桐箱に入れるか、防虫剤を近くに置くなど、気を遣います。
珊瑚もポロポロしてくる話を聞きます。
総じて、天然のものは今では貴重でお値段も高く、あまりサスティナブルじゃないのが気になります。店主も個人の所有はありません。
そういう点でも七宝焼は気軽に使えます。
素材自体が抜け感を演出する
着物を着ると全身が布です。異素材といえば革ベルトをするくらい。
その中で小さくても存在感のある帯留めが帯の中心にあると、ちょっと抜け感が出ます。
「七宝」はもともと仏教用語から来ています。「仏教の中で大事にされる七つの宝(金・銀・瑠璃・シャコ貝・メノウ・真珠・マイ貝)のように美しい」。天然の宝石に匹敵する美しさとして古代のアジア圏でも知られていました。
七宝焼の商品は撮影するのが難しいんです。カメラマンさんにも言われました。暗い色の釉薬を使っているのに光に当たると奥の方から輝きが迫ってくるように見えます。
また、金とプラチナも多用するので結構キラキラします。着物はどうしてもキラキラ不足に陥りがちなので、ぜひ取り入れてみてください。
七宝焼そのものについてもっと細かいお話はこちらからどうぞ。
帯留の使い方を詳しく
帯留は着物姿をもっと素敵にするジュエリーです。
着物のときにはネックレスをしないので、文明開化期の上流階級では帯留なしの着物姿は外国の婦人に比べて貧相に感じられ、宝石のついた帯留を使うことが奨励されたこともありました。
帯留は三分紐に通す
当店で使用している帯留金具の内寸はタテ約13.5mm、幅約3mmです。
ここに通す帯締めは普通の帯締めではなく「三分紐」を使います。
概念コーデの脇役として
当店の帯留はそのものに背景とか歴史とかを詰め込んだ紋章をデザインしていますが、なんかちょっと不思議なマークの入ったものとして気軽に使っていただきたいと思っています。
その点、概念コーデに使っていただくのがオススメです。
着物はパーツが多いので、ひとつひとつの主張が強くなくても全体として一つのイメージにまとまっている、というコーデがやりやすいメリットがあります。知ってる人には分かる、くらいにしたいときにも使ってもらえます。
帯留の使い方と付け方については並々ならぬ情熱で記事を書いています。こちらから見てもらえると助かります。
帯留のお手入れと保管
先にお伝えしたように、お手入れにそんなに気を遣わなくていいのが七宝焼の良いところ。
けれど、数が多くないときはそれはそれで着物に埋もれてどこかに行ったりしますので、ある程度お約束の方法を持っていた方が良いですよ、という提案です。
帯留をつけてもいい場面・NGな場面
帯留は基本カジュアルな普段着着物の際につけると思って良いです。
このオンラインショップで店主がしたいことは、単に帯留を売るというだけでなく、大人の女性が「着物を着る」という行為を通して今より自由な自分に変わっていく、その姿を見たいと思っています。
大人になった人たちが一段階上のステージに変わっていくのは、そりゃ、簡単じゃない。
で、この「簡単じゃない」の中に含まれているものとして、「最低限のルールやマナーを知り、実践できる状態になった上で自由にアレンジしていく、外していく、着こなしていく」という2つのステップがあります。
知識は大事。実践も大事なので、こちら確認してみてください。
読んで、買ってみて、長く楽しんでもらえたらありがたいです。
商品ページもぜひ見てくださいね。