帯留をつけても良い場面・NGな場面

帯留をつけても良い場面・NGな場面

帯留は着物を着たらいつでも付けられるわけではありません。

店主は帯留を使ってくださる全ての皆様に、自由に着物を楽しんでいただきたいと思っていますが、「知らずにマナー違反」は誰のためにもなりませんので、最低限のルールはふまえて欲しいと願っています。

 

帯留は基本カジュアルスタイルに着用

どの帯留も、基本はカジュアルな普段着着物に使います。

こちらの記事でも書いた通り、帯留は三分紐に通して使うのが基本です。三分紐は通常の帯締めと比べて細いので、厚くて長い帯を締めるのには力不足で向いていません。ということは自然と軽くて短い帯を使うときにつけることになります。

そうなると、着物も帯の格に合わせたものを着ます。訪問着や振袖では使いにくいです。

小紋のような普段着着物に名古屋帯や半幅帯などを合わせたところに、三分紐と帯留をつけます。

 

浴衣には積極的につけてほしい

浴衣も◎です。むしろ浴衣の場合は積極的につけることをお勧めします。着物とちがい長襦袢を着ませんので、外から見える飾りが少ないのです。帯も柄のないものが多くおなかまわりが寂しい印象になってしまいます。

 

着物・浴衣はネックレスをつけません。洋服のときのネックレスの代わりになるものが、着物では帯締めと帯留です。

 

 

着物の格が高いシーンにつける帯留 

格の高い着物とそのシーンは、だいたい下記のようなものです。

  • 黒留袖(結婚式、新郎新婦の母が着る)
  • 色留袖(結婚式、新郎新婦の姉妹が着る)
  • 喪服(葬式で喪主に近い女性が着る)
  • 振袖(成人式)
  • 振袖・袴(卒業式)
  • 訪問着(正式なパーティ・七五三・入学卒業式の母が着る)

かなり乱暴にまとめていますが、だいたい〇〇式のときに着る着物は格が高いものです。

このような時には基本、帯留はつけません。理由はさきほどもあった通り、着物が豪華→帯も豪華→帯締めが太い→帯留が入らない、となるからです。

 

もしこのシーンで帯留を付けている方を見かけたら、素材を確認しましょう。金銀や大粒の宝石のもののはずです。もし自分も付けたいのであれば同じようなランクのものを用意しましょう。

 

 

宮内庁からの通達

wikipediaの帯留の項に下記の記述があります。

上流社会では、日本が欧風化していくに当たって、華やかな西洋の宝飾品に対抗できる和装品の一つとして、宝石を使った帯留が、戦前からもてはやされた。フォーマルな席では、「宝石を豪華に飾る(西洋の)ローブ・デコルテに対し、日本婦人の紋付き(色留袖)にノー・ジュエリーは見劣り」がし、宮内庁筋から、「きものの礼装のときは帯留めや指輪に宝石を」と、お達しが出たこともある。紋付色留袖・丸帯の礼装に合わせて、ルビー・サファイア・エメラルドを使った帯留は、夜のパーティーやレセプションで、ダイヤモンド・真珠を使った帯留は、昼夜を問わず、活躍した。

 

「帯締めと帯留がネックレスの代わり」と先ほど書きましたが、明治の上流階級でも同じような認識だったということです。

ただ、今はその風潮も落ち着いています。今の皇后陛下はパーティや式典の際に帯留をお付けになることはほとんどないです。佳子さまは外国訪問の折にお付けになる様子は何度か見たことがあります。

 

難しいと感じるかもしれませんが、慣れの問題ですので。

不安に思ったらアユカワにLINEください。お答えします。

 

 

舞妓さんがつける帯留

何にでも例外はあるものです。

舞妓さんがつける帯留は特別に「ぽっちり」と呼ばれ、置屋(屋形)で受け継がれる家宝のような存在です。

舞妓さんのお衣裳は、着物も帯も布をたっぷり使った重たいものです。一人では着られないので男衆が着せます。帯締めも太く、それに合わせる帯留は10cmくらいの大きさです。

 

またホステスさん方がお着物を着られるときも大ぶりの美しい宝石がついた帯留をよく見ます。

 

「衣装」としての着物には帯留が必要、ということです。

 

 

葬式と茶道では絶対ダメ 

ここで、TPO的に絶対NGな場面をあげておきます。

  1. 葬式
  2. 茶道

葬式は、昔は水晶ならいいとかあったようですが、やめましょう。そんなところで目立つ必要なし。黒いパーティー衣装でいくのと同じくらいマナー違反です。

茶道の茶事(茶会のこと)などに参加し、着物を着る場合も帯留ははずしましょう。万が一、茶碗などの茶道具に帯留が当たって割れてしまうことを避けます。五感をフル稼働して一服のお茶を楽しむ時間に、過度なきらめきは不要です。

 

 

 

帯留によってはふさわしい時期があるものがある

いつでも使ってよい帯留にも、TPOまでいかないが守っている方がステキ、というルールがあります。

 

 

素材の季節感

おそらく透け感と色味によるものと思いますが、素材によって若干の季節感があります。

【夏用】翡翠・水晶

【冬用】珊瑚

 

珊瑚=真夏の海って感じですが、実際の珊瑚はマットな朱赤なので冬用ということだと思います。

 

 

デザインの季節感 

ひまわりのデザインの帯留を真冬に使うのはやめよう。それくらいの感じです。

 

が、じゃあ椿はいつからいつまで?薔薇は?芙蓉は?葵は?

 

よく知らない花、よく知らない鳥のデザインに出くわしたら、ちゃんと調べる癖をつけておくと困らないと思います。帯留だけでなく着物や帯の柄を選ぶのにも重要な感性です。

付け加えれば、季節を先取りするのが粋でオシャレという感覚が着物界隈にはあります。サンタクロースの帯留は12月26日以降は使わないのが無難です。

 

 

 

&ENAMELの帯留はこのようなときに使っていただけます 

さて、ここまで一般的なルールとマナーを紹介してきました。

 

 

当店の帯留の素材とデザイン 

当店の帯留は七宝焼でおつくりしています。キラメキは五大宝石にも劣りません。なんせルビーなんかより昔から飾りとして使われていましたので。

けれど、七宝(仏教でいう七つの宝石)に値する輝きを持つ七宝焼といえども、結婚式で使うことはできません。正式な場面ではお控えください。

二次会とかだったらいいと思ってますが。

 

デザインは古今東西の紋章を起こしてデザインしているので、こちらもオールシーズン着用可です。

これからの製作によってはシーンを特定して付けてもらうことを推奨することがあるかもしれませんが、その時は注意喚起いたします。

 

 

 

以上です。

最低限の知識を踏まえたうえで自由に着ていきましょう。

 

その他の記事↓

当店の帯留について

帯留の使い方について詳しく

帯留のお手入れと保管

七宝焼について詳しく

 

 

 

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