着物着ます、というとよく受ける相談が「うちの実家に着物があって、整理したいんだけどもらってくれない?」というもの。
中には絶対に着ないだろうと思われるものもあります。
店主は地味女子を自認していて、洋服から逃げてきたからと言って大正レトロの着物が好きというわけでもないので、できればスーツっぽく着物を着たい派閥です。
古着着物にはあんまり興味なくて、新しい着物屋さんで仕立てる方が好み。
なのでいただいた着物の中に趣味に合わないわ、と思うものもよくあります。
もうそろそろ押入れが限界です。
けれど私は、もらえるものはなんでももらっておきます。
断らないし、捨てません。
なぜか。
今着ないだけかもしれないから
とりあえずもらったし着てみようと思って、黄緑色の総絞りを着たことがあります。
1回友人と飲みに行くのに着ていってすごーく浮きました。そのときはもう着ないぞ!と思ったけれど、子どもが産まれてしばらく経った今、なんかもう1回着たい気持ちに。
そのまま取っておくことの豊かさ
最近ヨーロッパの各地で、仕立て屋さんが増えているそうです。SDGsの観点でもう着なくなった洋服をもう一度好みの形に直して着る意識が高まっているからだとか。
着物の良さってそんな感じだと思っていて、いま使わないから断捨離しちゃお、みたいな部類には入らないと思うんです。
わたしが洋服苦手と思うのは流行を追い求めてシーズンごとに服を買い足さなければいけない!と思い込んで苦しくなったからですから、良いものを長く使うというのはその気持ちにもフィットします。
日本にも(もっと気軽に入れる)着物の仕立て直し屋さんが増えると良いなとは思っています。
もちろん、「一生ものだから」高いものを買おうという着物屋さんの宣伝文句は嘘(というか同意できない)と思ってますが、日本のものの価値の測り方が簡単すぎることに対して、着物を仕舞い込むことでささやかな抵抗をしているのです。
変かな。
笑っちゃう裏地とか捨てられないでしょう
表情を消して断捨離するタイプの店主ではありますが、いただく着物って当たり前だけど人にあげても良いかなって思って渡してくれるものなのでそれなりのものですよね。
そしてその中でも裏地の楽しさあるじゃないですか。これはご実家が京都の方からいただいた羽織。
こんなん無表情で捨てられないでしょう。
いただく着物は、ほとんどが「ちゃんと着てたもの」です。
積極的には欲しがらないが、くれるというなら有り難くいただく。
そうやってできる範囲で生活の中にあった着物を取り戻してっても良いんじゃないでしょうか。
ということで、今日も楽しい着物生活しましょう!