こんにちは。
実は茶道のお稽古を続けている&ENAMEL店主アユカワです。
続けているといっても2015年からなので今8年くらい。茶道の界隈では初心者状態です。
時間感覚が現代とぜんぜん違います。茶道と着物は密接に結びついていて、その時間感覚みたいなものが着物事情をややこしくしている側面があります。着物を着てみたいと思った初心者には門が狭く感じられます。
とはいえ、いまお稽古を一緒にしている人たちは60代の方が多くて、みなさん気持ちがお若い。
考えたことありますか?いまの60歳の女性って、もう「おばあちゃん」じゃありませんよ。
現役。話が通じる。自己肯定感が低いとか、そういう点でも少し理解し合える。
これが70歳の人たちとなると、昔の人っぽい、ルールとしきたりを重んじて現実を批判する感じがあります。
これ、あくまで2024年時点での東北の日本海側に住む人n人のデータなので広く捉えたくないのですが、だからこそ聞けた本音みたいなのをシェアします。
昨日、茶道の「初釜」があったんですよ。
初釜は年が明けて初めてする茶会のことで、干支やめでたい柄の茶碗が使われたり、特別な和菓子が出たりしてみんなで新年を祝います。
先生がお茶を点ててくださることもあって、生徒は普段より立派な着物を着て参加します。何かサークルとか団体に所属していて新年の集まりがあるとスーツやジャケットを着て参加しますよね。それと同じ感覚です。
普段着物を着ていない、30代と80代の方が頑張って着物を着てきました。おめでたい柄の着物を着るのでみんなほめ合います。
そのなかで60代の先輩が、困ったように話していました。
着物を着てこられない理由として、
- 自分で最後に着物を着たのは40年前
- それ以降は結婚式に参加して着付けしてもらっただけ
- 母親からもらった着物はあげてしまってほとんどない
- 今ある着物も虫干しするだけで着れるか確認してない
- 着付け小物がそろっているのか自分では分からない
- 一度も使ってない着物関係のものが車庫の2階にしまってある
わたしは、こういう年上の方が着物を着なくなってしまう理由は、「腕が上がらなくて」とか「なんかおっくうで」とかだと思っていたんですよ。
でも違いました。
知識はあるのに、もう長いこと実践してないから自信がない
だったんですよ。
虫干しというのは、晴れた日に着物を干して虫喰いを防ぐことです。かろうじてこれはやってると。
でも着てはいない。
着ない服のメンテナンスを一年に何度かやらなければいけない状態なんです。
つらい世代だなーと思いました。
当たり前に着物を着ていた自分よりちょっと上の世代からたくさん着物を押しつけられ、でも自分は着ない。この方たちにとっても着物はもはや「着せてもらうもの」なんです。
アユカワは30代で、まわりに着物を着る人はほぼいません。頑張って着物を着た30代の方には、着つけの仕方をお伝えして、当日朝いっしょに着てから初釜に参加しました。
知識もない、着物すてきだし、着てみたい。その純粋なきもちがあって、着物にまつわる思い出とかがない人のほうが案外始めやすいのかな、と思いました。
アユカワの初釜の着物についてはまた後日にします。
初釜は楽しかった。よっぱらいました。