ハイヒールが自分に合わないと感じて、専門店で探したりオーダーしたりした末に、やっぱり無理だと思って逃げたこと。
きちんとした場所で「きちんと見える」服が着たいだけなのに、それを拒否された気がして苦しみながらたどり着いたのが着物でした。
もちろんお金も知識も必要だし、まともに着られるようになるまで時間がかかりましたが、だからこそ見えたことがあります。
着物は、やさしい。
着物は、誰でも着ていい服なのだということ。
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パーソナルカラー、骨格診断、体型を隠すテクニック。
雑誌で特集される内容は、いつでも「私には着ちゃいけない服」があると知らせてくれます。
でも、着物はどれも同じ形。何色もの糸が織り込まれていて、何を組み合わせてどう着るかは自分の着付け次第。
なーんだ。
こんな自由な世界があったなんて!
私はここで、自分の好きなテイストを選んでいけばいいんだ。
目指すスタイル、好きな小物の組み合わせ、着物姿を見た人に喜んでもらうための仕掛け。
自分では「逃げて逃げてようやくたどり着いた」と思ったけれど、実は大きくて新しい世界の入り口に立っただけだったのです。
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こんな気づきを得てから世界の民族衣装を見れば、色とりどりで自由。みんなその服を着て音楽を奏で、伝統的なダンスを踊るのです。
私たちの民族衣装は、とてもやさしく大らかなのです。